聖学院 On-line Information 2010/11/17
2010/11/17 人間福祉学部AH「『祝島』から見た“いのち”の営み」報告
[聖学院大学(人間福祉学科)] 投稿日時:2010/11/17(水) 15:38
11月17日(水)、人間福祉学部AH講演会「『祝島』から見た“いのち”の営み」が、ドキュメンタリー映画「祝の島」監督纐纈あや(はやぶさ あや)さんをお迎えして行われました。
纐纈あや監督は、自由学園出身。このドキュメンタリー映画が初監督作品となります。
どうして映画監督をすることになったのか、その経緯。また、「祝の島(ほふりのしま)」のダイジェスト版を観たり、映画を製作する中での感じた「人と人とのつながり」のことなど、お話してくださいました。
【写真家本橋成一さんとの出会い】
纐纈さんは、自由学園を卒業後、商社に就職。しかし、1年経った頃、「人の幸せに貢献しているのか」「人の役に立っているのか」と考えるようになり、上司に相談。
その時、「やりたいものを見つけるまで、頑張って仕事をするように」とアドバイスを受け、様々な仕事を経験。
その中で、同じ自由学園出身者の、写真家本橋成一さんとの出会いがあったそうです。
【はじめての「祝島」】
事務スタッフとして加わった最初の作品がチェルノブイリ原発事故を題材にした「アレクセイと泉」という作品。
この作品の上映会のために訪れたのが「祝島」でした。初めて「祝島」に着いた纐纈さん達を温かく迎える島の人たち、また、“強烈に楽しかった上映会”が印象的だったそうです。
本橋監督3作品目に入る時に、ドキュメンタリーの持つ“その人たちの生活に踏み込むこと”の責任の怖さを感じ、退職。
そして、派遣社員として人と接することの少ない大手IT企業で働き始めましたが、そうしているうちに今度は人と関わりたくなったとのこと。
【運命的な出会い】
そんな時に、出会ったのが小川紳介監督のドキュメンタリー「満山紅柿」。
「“生きる”ってこういうことか」「“明日も生きていこう”と力を与えられるような」「人と関わったものを映像にしたい」・・そういう作品を作りたいと思い、再び本橋成一さんのもとを訪ねます。
本橋さんからは、「映画を作ると決めたらなら、“映画を作る”ということを宣言しろ!そうしないといつまでたってもできないぞ」「一人の力で完結させてはいけない。まわりの人を巻き込め!」とアドバイスを受けました。
そして、経験も資金もない中で、カメラマン探し・・。紹介されたKBC放送の社長にダメもとで情熱をぶつけたところ、思いがけない全面協力を得られることになり、1年半、女性カメラマンを付けてくれることになったのです。
最初の「祝島」との出会いから5年目。
纐纈さんは、「祝島」でカメラマンと、そして後には制作担当者と女性3人で約2年間、過すことになります。
【「祝の島」でのこだわり】
「何を大切にしているかを知りたい。映像にしたい」という思いから、「暮らし」にこだわりました。
「祝島」は島民の約75%が65歳以上で、1982年に4キロ先の対岸に原発建設計画が発表されてから20年以上も、「原発反対運動」を続けています。
島の生活はほぼ自給自足。
映像にも紹介されていましたが、30年間かかって石を積み上げて作った9メートル4段半の棚田は本当に立派なものです。
「人間の営み=ちっぽけなもの=自然に戻っていく」「人間も自然の一部」ということを「祝島」は思い出させてくれる、と纐纈さんは語っていました。
そして、「原発」は「人間が作り出して、自然に戻ることはできない」。だから、「祝島」の人たちは反対するのだと・・・。
島の人たちは、みな「助け合い、協力しあっています。
自然環境も厳しい中で“一人では生きていけない”場所でもあります」。
「島全体が家族」「人と人がつなっている」のです。
この島に「孤独死はありえない」とも、纐纈さんは語っていました。
【伝えたいこと】
纐纈さんは、この映画を通じて「(祝)島の人に関心を持ってもらいたい!」とのこと。
そして、「何かをするために道は決まっていない」「何かをする!と決めた時点でその道につながる」と・・・。
「やりたいこと、何でもやってください!」とも語っておられました。
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