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聖学院大学 創立20周年記念 2008/11

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2008/11/26講演会「アメリカとは何か」その2

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/28(金) 15:52

11月26日に行われた講演会「アメリカとは何か」アンケートより、一般の方々からのご感想の一部をご紹介します。

 

・奥平先生のオバマさんを信じられる経験の「2点」のお話、心打たれた。大きなうねりのこの時期に「アメリカ」という大きなテーマで、お二人のお話を伺えて、とても有意義だった。田母神論文にまつわるお二人のご見解も伺えてよかった。

 

・お二人の先生のお話は主題「アメリカ史の文脈から考える」で、戦中戦後の民主主義の方向づけなど、その流れが分かった。そして、今年のアメリカの金融危機、世界同時不況の中で、来るべき新しい年、アメリカを運営するオバマ大統領の政治にも注目していきたい。大変良い時期に良い講演を聴き有意義だった。

 

・大変内容の濃い講演で、自分の記憶にしかりとどまるものになると思う。貴重なお二人の講師の方々の話がこんな形に、すぐ近くで(無料で)聞けたことを感謝する。

 

・二人とも、大国アメリカの強国、大国をよい意味で褒めていたが、マイナス面も聞きたかった。すべてを論じる時、良い面の裏には必ず悪い面もあると思う。

 

・アメリカの変わり目と日本の変わり目に立ち会っている。心して生きていきたいと思った。

 

・もう少しお二人のお話を聞きたいと思った。とても興味深い話だった。ダブルスタンダードのアメリカとどのようにつきあうのか考えさせられる講演会だった。

 

・日本の多くの人々が知り、学ばなければならないことと思った。

 

・初めて講演会に参加した。まさに今知りたい内容を知る、大変貴重な機会となった。

 

・すばらしい企画だった。また大学で学びたくなった。

 

・一般社会人も聞けたこと、大変うれしく思っている。特に、上尾市に住んで30年、初めて貴大学に来られたこと、良かったと思う。

 

 

<<<講演会報告「アメリカとは何か」に戻る

2008/11/26講演会報告「アメリカとは何か」その1

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/27(木) 18:25

11月26日(水)11時より、奥平康弘氏・姜尚中氏による講演会「アメリカとは何か」が行われま した。まず姜尚中氏より、講演がありました。

 

・「極端な大国」というのがアメリカを語るときのキーワードだと思う。ニューヨークの摩天楼などがありながら、ハリケーン・カテリーナが襲ったニューオリンズなど犯罪率が高い地域が存在する。世界の大国、豊かさの象徴との互角に、貧困の大国でもある。

 

・コーネル・ウェスト氏(プリンストン大学教授)が、講演会でアメリカの誕生について語ってくれたが、2つの拮抗する傾向がある。「聖書的な開かれた共和国としての伝統」「外に膨張していく、帝国主義的な人種差別的な傾向」がある。

 

・マックス・ウェーバーが日露戦争のころに、訪米したが、その際に、近代の始まりと終わりの印象を持った。今起きている、金融破綻も、ある意味で、資本主義のひとつのサイクルの終わりであるかもしれない。

 

・ヨーロッパから見たアメリカとして、ハンナ・アーレントのフランス革命とアメリカ独立革命の比較、ネグリ『帝国』における、ヨーロッパとアメリカの主権のあり方の違いなどがある。ここにもアメリカの「極端」な在り方が見られる。

 

・ネオコンの論客、ローバート・ケイガンが論じた「アメリカはホッブス的世界を、力によってアメリカが掲げる民主主義を世界に広める」という動きが冷戦崩壊以降あった。それが悲惨な結果を生んでいる。80年代以降、レーガン政権からブッシュ陣営となるアメリカ史から、オバマ政権誕生により何かかがまた大きく変わるのではないか。

 

・今日の金融破綻、オバマ政権の誕生と、これは1つの国の中に、2つのnation(国)があるような状態にも見える。アメリカのハワイでうまれ、ケニアと関係の深い黒人と白人の間に生まれたオバマが大統領になったことは、驚くべき事件。開かれた共和制の自由が復活される兆しなのか。これをアメリカ史でどう位置づけるか。オバマ圧勝は、選挙という形で行われた革命である。changeではなくrevolutionである。アメリカの伝統というものが再生されるのではないか。

 

・インドネシアで幼少期を過ごしたオバマは、アメリカをアジア太平洋国家としての存在を望む方向に動くのではないか。そのとき、東アジア諸国はアメリカにどう対応するのか。

 

その講演に続くような形で、奥平氏より講演がありました。
ご自身のアメリカ留学経験などを重ね合わせ、「アメリカとは何か」について語られました。

 

・オバマ大統領誕生より前に、オバマの青年時代に「ハーバード・ロースクールのロー・レビュー(ロースクールの紀要)で、editor in chief(編集長)として史上初めての黒人学生」というニュースを、感慨深く聞いたことを思い出す。

 

・アメリカ合衆国は、民衆が集まった「合衆国」というより、「合州国」だというべきだという意見もある。state(州)が、集まって作られた国だが、州の利益を大切にしつつも、more perfect union(もっと完璧つながり)にしようという思いが強い。そのような歴史を反映した、憲法や選挙制度が残存している。

 

・多文化主義を唱える一方、人種差別が根強く残るなど、double standardが存在する。

 

・アメリカの愛国心(patriot)の持ち方とは、「日常生活において、愛国心を持つ」というような、身近で気軽なものであったが、イラク戦争の大義名分として利用されるような変化が最近見られた。

 

・オバマ大統領の誕生は、アメリカ自体の革命にとどまらず、世界的な革命であり、これにより世界が変わる歴史的な出来事である。

 

* * *

 

その後、2講師の対談や、聴衆からの質疑応答で

 

・日本のパワーエリートによる、アメリカに対する偏った見方
・アメリカの自由主義の伝統
・田母神論文の考え方

などのテーマが語られました。


アメリカのオバマ誕生の意味を考えることで、日本の外交上の立ち位置、世界情勢、歴史などに思いをはせる、広い視座を与えられる講演会となりました。議論がもりあがり、講演終了は30分延長の13時でした。

 

また今回の外部参加者は、20周年講演会で日野原氏講演に次ぐ多さで、215名となり、学生、教職員を含めると、総勢380名ほどの参加者となりました。

 

■参考
奥平康弘氏の講演で、アメリカの愛国心(patriot)を表す映画や絵として以下が紹介されました。
・映画「スミス都へ行く」 (1939)
・映画「ガダルカナル・ダイアリー」(1943)
・ノーマン・ロックウェル作の絵「4つの自由」(1943)

 

講演会告知内容

 

▼講演終了後、講演者を囲んで、政治経済学科学生、教員と

 

 

>>>講演会報告「アメリカとは何か」その2:参加者の感想へ

2008/12/03 講演会「時代の変革期に直面する日本」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/21(金) 11:48

■ 日時 2008年12月3日(水) 11:00~12:30

 

■ 場所 聖学院大学チャペル

 

 

 

■ 講演者 

 

加藤 紘一 衆議院議員

1939 年、山形県出身。1964 年、東京大学卒業と同時に外務省入省。在台北大使館、在ワシントン大使館勤務、香港総領事館副領事、アジア局中国課次席事務官を勤めた後、1972 年衆議院議員初当選以来、当選12 回を果たす。内閣官房副長官、防衛庁長官、内閣官房長官(宮澤内閣)や、自民党政務調査会長、同幹事長など、政府と党の要職を歴任。2000 年に議員辞職し、750 回もの小集会を開いて地元の人々との対話から保守の原点に立ち返り、国政に復帰。2008 年、聖学院大学総合研究所客員教授に就任。著書に、『新しき日本のかたち』『テロルの真犯人』『強いリベラル』など。共著に加藤紘一・姜尚中『創造するリベラル』など。

 

 

■ 講演内容

 

アメリカに端を発した金融危機が世界を覆い、その混乱の波が日本を直撃している。生活の不安はますます重くのしかかり、希望の見えない時代の中、アメリカでは「変革」の理念を高く掲げたオバマ氏が、前例のないほど大きな内外からの期待を背負って勝利した。世界は、今、大きな変革期に直面している。迷走する日本の政治の舵取りはどうあるべきなのか。本学総合研究所客員教授就任を記念して、加藤紘一氏が変革期にある日本政治の課題を語る。

 

 

 

 

 

【入場無料・申込不要】

 

2008/11/19講演会報告 「湯浅誠、学生と語る『現代の貧困』」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/20(木) 20:22

11月19日(水)の講演会は、自立生活支援サポートセンター・舫(もやい)の事務局長、湯浅誠氏をお招きし、「現代の貧困」について、考える機会を持ちました。

 

前半は、湯浅氏より、以下のような講演がありました。

「貧困」という問題が、実は我々すべての国民の問題であるということをどのように皆に理解してもらかという内容でした。

 

------------------

・「貧困に陥る人が悪い」という自己責任論の問題はなんの解決もならない。
セイフティ・ネットに空いた穴が広がっているが、
広がっていることに注意を向けないで、その穴に落ちるのが悪いという議論が多い。

 

・貧困者は今日、明日が生きていけなくなるので働くが、どんな雇用条件でも働かざるを得ないので、労働条件が悪くなる。

雇用条件が悪くなり、貧困が労働市場を悪くしていく原因にもなる。そして、それはブーメランになって、今度は正社員の雇用条件が切りくずされていく。お互いがお互いを下げあうことになる。

 

・年金暮らしのお年寄りが、「生活保護の人がもらい過ぎ」といい、生活保護の金額が下げられる。しかし年金生活者の支給額が変わるわけではない。

 

・現在、不安と諦めが同居している状態で、それは不健全な状態。

両方を抱え込むより、不安をみんなで解消していこうと考えるほうがはるかに健全。

貧困は貧困に陥っている人だけの問題ではなく、社会全体の問題であることを認識することが重要。

------------------

 

講演後、自主ゼミ等で、今回のテーマ「現代の貧困」について、この4月より学びを深めてきた学生政治経済学部3名が登壇、湯浅氏に、質問を行いました。

貧困問題について日本政府のとるべき政策、不登校と貧困の関係、もやいの運営、そして、私たちのすべきことなど、突っ込んだ質疑応答が行われました。

 

また湯浅氏の回答で、以下のような話もありました。
「小泉元首相がセイフティネットを壊したことをきっかけに、どんどん貧困が拡大した。しかし最近ようやくそれではいけない、セイフティネットを作ろうという機運が少しは出てきた」

本当は身近な貧困問題について、聴衆一同、真剣に考える90分でした。

 

また講演後、チャペル外に、もやいの販売する「こもれび」コーヒーの試飲コーナーが
設けられ、趣旨に賛同する聴衆が、コーヒーを購入しました。

 

■参考:【特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター もやい】
http://www.moyai.net/

 

■コーディネータ:

コミュニティ政策学科・大高研道先生

政治経済学科・高端正幸先生

 

写真左上:真剣に聴き入る聴衆

右上・左下:登壇者3名・右端は司会の大高先生

右下:チャペル前で、もやい提供のこもれびコーヒーを試飲する、参加者

 

 

 
 

 

 

【参考】 2008/11/19講演会案内(チラシ・湯浅誠氏プロフィールなど)

 

【追記】2009.1.3

 

年越し派遣村は、湯浅誠氏が村長をされています。募金を受け付けています。

→詳しくはコチラ

 

 

2008/11/12講演会報告「いま、死刑制度を見つめる」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/15(土) 17:20

11月12日(水)は、2種類の講演会が11時より同時開催されました。

政治経済学部主催の「いま、死刑制度を見つめる」と、欧米文化学科主催の「平和のためにーいま音楽にできること」

 

「いま死刑制度を見つめる」では、教授会室にて、社団法人アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠氏と、阿久戸光晴・本学学長による講演が行われました。


寺中氏は、刑事政策及び国際人権法という専門の立場から、死刑に関する国内外の歴史を踏まえた上で、刑罰として、命を奪う行為は近代的ではなく、死刑と殺人件数の相関グラフから見ても、死刑が犯罪の抑止効果となっているとはいいがたい状況であることを説明。マイノリティの立場に配慮する人権問題として、死刑制度を廃止することを主張しました。


続いて、阿久戸学長は、寺中氏とは観点を変えて講演をされ、死刑制度について、法学からと、神学からのアプローチを試み、考察を行いました。そして、死刑の根本問題として、EU基本権憲章の理念的背景などに触れ、「生きる厳しさと尊さ」を万人が共有し、生命の尊厳を最優先すべきではないかと、強く提案されました。また裁判員制度で、対象事件として、死刑にあたる罪に関わる事件も含まれることに触れ、裁判員制度のあり方についても、あわせて問題提起をされました。

 

本講演には、政治経済学部の学生を中心に、大学院を含む多くの教職員および外部の方が参加、100人の会場は満席で、立ち見の参加者が多くありました。また、扱うテーマが「死刑」ということもあり、緊張した空気の中で行われ、死刑問題に関する、参加者の関心の高さをうかがわせる講演会となりました。

 

また本講演後、昨年の政治経済学科の講演をまとめた、『創造するリベラル』等が販売されました。

 

いま、死刑制度を見つめる(講演概要)

 

政治経済学科HP

 

写真左:講演する阿久戸学長

右:聴衆からの質問に答える、寺中氏

 

 

 

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