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聖学院大学 創立20周年記念

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2008/11/19講演会報告 「湯浅誠、学生と語る『現代の貧困』」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/20(木) 20:22

11月19日(水)の講演会は、自立生活支援サポートセンター・舫(もやい)の事務局長、湯浅誠氏をお招きし、「現代の貧困」について、考える機会を持ちました。

 

前半は、湯浅氏より、以下のような講演がありました。

「貧困」という問題が、実は我々すべての国民の問題であるということをどのように皆に理解してもらかという内容でした。

 

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・「貧困に陥る人が悪い」という自己責任論の問題はなんの解決もならない。
セイフティ・ネットに空いた穴が広がっているが、
広がっていることに注意を向けないで、その穴に落ちるのが悪いという議論が多い。

 

・貧困者は今日、明日が生きていけなくなるので働くが、どんな雇用条件でも働かざるを得ないので、労働条件が悪くなる。

雇用条件が悪くなり、貧困が労働市場を悪くしていく原因にもなる。そして、それはブーメランになって、今度は正社員の雇用条件が切りくずされていく。お互いがお互いを下げあうことになる。

 

・年金暮らしのお年寄りが、「生活保護の人がもらい過ぎ」といい、生活保護の金額が下げられる。しかし年金生活者の支給額が変わるわけではない。

 

・現在、不安と諦めが同居している状態で、それは不健全な状態。

両方を抱え込むより、不安をみんなで解消していこうと考えるほうがはるかに健全。

貧困は貧困に陥っている人だけの問題ではなく、社会全体の問題であることを認識することが重要。

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講演後、自主ゼミ等で、今回のテーマ「現代の貧困」について、この4月より学びを深めてきた学生政治経済学部3名が登壇、湯浅氏に、質問を行いました。

貧困問題について日本政府のとるべき政策、不登校と貧困の関係、もやいの運営、そして、私たちのすべきことなど、突っ込んだ質疑応答が行われました。

 

また湯浅氏の回答で、以下のような話もありました。
「小泉元首相がセイフティネットを壊したことをきっかけに、どんどん貧困が拡大した。しかし最近ようやくそれではいけない、セイフティネットを作ろうという機運が少しは出てきた」

本当は身近な貧困問題について、聴衆一同、真剣に考える90分でした。

 

また講演後、チャペル外に、もやいの販売する「こもれび」コーヒーの試飲コーナーが
設けられ、趣旨に賛同する聴衆が、コーヒーを購入しました。

 

■参考:【特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター もやい】
http://www.moyai.net/

 

■コーディネータ:

コミュニティ政策学科・大高研道先生

政治経済学科・高端正幸先生

 

写真左上:真剣に聴き入る聴衆

右上・左下:登壇者3名・右端は司会の大高先生

右下:チャペル前で、もやい提供のこもれびコーヒーを試飲する、参加者

 

 

 
 

 

 

【参考】 2008/11/19講演会案内(チラシ・湯浅誠氏プロフィールなど)

 

【追記】2009.1.3

 

年越し派遣村は、湯浅誠氏が村長をされています。募金を受け付けています。

→詳しくはコチラ

 

 

2008/11/12講演会報告「いま、死刑制度を見つめる」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/15(土) 17:20

11月12日(水)は、2種類の講演会が11時より同時開催されました。

政治経済学部主催の「いま、死刑制度を見つめる」と、欧米文化学科主催の「平和のためにーいま音楽にできること」

 

「いま死刑制度を見つめる」では、教授会室にて、社団法人アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠氏と、阿久戸光晴・本学学長による講演が行われました。


寺中氏は、刑事政策及び国際人権法という専門の立場から、死刑に関する国内外の歴史を踏まえた上で、刑罰として、命を奪う行為は近代的ではなく、死刑と殺人件数の相関グラフから見ても、死刑が犯罪の抑止効果となっているとはいいがたい状況であることを説明。マイノリティの立場に配慮する人権問題として、死刑制度を廃止することを主張しました。


続いて、阿久戸学長は、寺中氏とは観点を変えて講演をされ、死刑制度について、法学からと、神学からのアプローチを試み、考察を行いました。そして、死刑の根本問題として、EU基本権憲章の理念的背景などに触れ、「生きる厳しさと尊さ」を万人が共有し、生命の尊厳を最優先すべきではないかと、強く提案されました。また裁判員制度で、対象事件として、死刑にあたる罪に関わる事件も含まれることに触れ、裁判員制度のあり方についても、あわせて問題提起をされました。

 

本講演には、政治経済学部の学生を中心に、大学院を含む多くの教職員および外部の方が参加、100人の会場は満席で、立ち見の参加者が多くありました。また、扱うテーマが「死刑」ということもあり、緊張した空気の中で行われ、死刑問題に関する、参加者の関心の高さをうかがわせる講演会となりました。

 

また本講演後、昨年の政治経済学科の講演をまとめた、『創造するリベラル』等が販売されました。

 

いま、死刑制度を見つめる(講演概要)

 

政治経済学科HP

 

写真左:講演する阿久戸学長

右:聴衆からの質問に答える、寺中氏

 

 

 

講演会「平和のために─いま音楽にできること」(ピーター・バラカン氏)選曲リスト

[創立記念行事紹介] 投稿日時:2008/11/12(水) 17:39

平和のために いま音楽にできること2008年11月12日(水)に行われた講演会「平和のために─いま音楽にできること」(講演:ピーター・バラカン氏)選曲リストは、下記の通りです。

 

⇒講演案内はコチラから

 

⇒講演会報告はコチラから

 

 

 

 

■選曲リスト

 

Queremos Paz/Gotan Project
   La Revancha Del Tango

 

Give Peace A Chance/John Lennon
   Lennon Legend: The Very Best Of John Lennon

 

(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?/The Holmes Brothers 
   State Of Grace

 

There Will Never Be Any Peace (Until God Is Seated At The Conference Table)/Nick Lowe
   Poor Side Of Town

 

One Word (Peace)/The Subdudes
   Behind The Levee

 

Bomb The World/Michael Franti & Spearhead
   Everyone Deserves Music

 

Day After Tomorrow/Linda Thompson
   Versatile Heart

 

Everybody's Crying Mercy/Bonnie Raitt
   Takin' My Time

 

Shine/Joni Mitchell
   Shine

 

A Change Is Gonna Come/Sam Cooke
   Portrait Of A Legend 1951-1964

 

Yes We Can, Can/Maria Muldaur
   Yes We Can!

 

Young, Gifted And Black/Aretha Franklin
   Young, Gifted And Black

 

Harvest for the World/The Isley Brothers
   It's Your Thing

 

 

講演会報告「平和のために─いま音楽にできること」(ピーター・バラカン氏)

[創立記念行事紹介] 投稿日時:2008/11/12(水) 17:27

今回は人文学部・欧米文化学科主催の講演会。


11月12日(水)アセンブリアワーの時間に、ブロードキャスターとして幅広い分野で活動されているピーター・バラカン氏に「平和のために─いま音楽にできること」と題してご講演いただきました。
本学チャペルを会場に、学生や教員のほか一般(近隣)の方も参加され、入場者数は約200名でした。

 

■講演案内はコチラ


講演会では、「平和」をテーマにバラカン氏が選曲された音楽を聴きながら、歌詞に込められた意味やメッセージを、時代背景や社会現象なども含め解説されました。

 

■選曲リストはコチラ


特にアメリカ公民権運動の時代に作られたサム・クックの楽曲「A Change Is Gonna Come」で歌われた“変革は時間がかかるがきっと訪れる”という当時の黒人たちの希望が、アメリカ大統領選に勝利したオバマ氏のシカゴでの勝利宣言「米国に変革の時が到来した」の言葉につながっているという話は、非常に興味深いものでした。

 

最後に、バラカン氏はこのように語られました。
「音楽は、直接的に平和をもたらすことはできない。しかし、音楽は一人ひとりの心を変えることができる。
例えばこうした平和へのメッセージが込められた音楽を耳にすることによって、人の価値観や気持ちが変えられるのです。
一人ひとりのそうした“心”が集まると、社会そして世界が変わり始める。理想論と言われるかもしれないが、この理想を捨てたくないと思っています。
若い世代の人たちは、あまり洋楽を聞かないと思いますが、今日紹介した音楽を心にとめていただき、一人ひとりの気持ちが平和につながることを願います。」


▼音楽を流しながら、スクリーンで歌詞を写し解説

 

▼講演後の質疑応答の様子

2008/11/07 講演会報告「なぜホスピスが必要か」(日野原重明氏)

[創立記念行事紹介] 投稿日時:2008/11/07(金) 20:39

今回は、人間福祉学科が主催の講演会。

 

11月7日(金)午後2時より、聖路加国際病院理事長の日野原重明氏に、ホスピスの必要性についての、ご講演をいただきました。

 

この講演会は、平日の昼間にもかかわらず、外部からの来場者が多く、入場者は約800名となりました。

特に、比較的高齢の方の出席が多く、本学の学生と一緒になって、日野原先生の講演に、熱心に耳を傾けました。

また、講演会の後、サイン会が行われ、長蛇の列が続きました。

 

■講演案内「なぜホスピスが必要か」

 

 

講演は、大スクリーンを利用して行われました。

 

先生とホスピス患者との接し方を通して、先生がおっしゃる、「ホスピスは生きるための場所であって、死ぬための場所ではない」ということがよく理解できました。97歳という年齢を感じさせないお元気な先生のお話しをお聞きし、いのちの大切さを改めて教えられ、また子ども達にもいのちの教える教育の大切さを再確認しました。

 

先生は現在、新しい老人の生き方を追及する「新老人の会」の会長でもあります。当日は「新老人の会」へのお誘いパンフレットも配られ、会の目標と様々な活動について知る機会が与えられました。

 

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