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聖学院大学 創立20周年記念 ブログテーマ:聖学院大学(政治経済学科)

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2008/11/12講演会報告「いま、死刑制度を見つめる」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/15(土) 17:20

11月12日(水)は、2種類の講演会が11時より同時開催されました。

政治経済学部主催の「いま、死刑制度を見つめる」と、欧米文化学科主催の「平和のためにーいま音楽にできること」

 

「いま死刑制度を見つめる」では、教授会室にて、社団法人アムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠氏と、阿久戸光晴・本学学長による講演が行われました。


寺中氏は、刑事政策及び国際人権法という専門の立場から、死刑に関する国内外の歴史を踏まえた上で、刑罰として、命を奪う行為は近代的ではなく、死刑と殺人件数の相関グラフから見ても、死刑が犯罪の抑止効果となっているとはいいがたい状況であることを説明。マイノリティの立場に配慮する人権問題として、死刑制度を廃止することを主張しました。


続いて、阿久戸学長は、寺中氏とは観点を変えて講演をされ、死刑制度について、法学からと、神学からのアプローチを試み、考察を行いました。そして、死刑の根本問題として、EU基本権憲章の理念的背景などに触れ、「生きる厳しさと尊さ」を万人が共有し、生命の尊厳を最優先すべきではないかと、強く提案されました。また裁判員制度で、対象事件として、死刑にあたる罪に関わる事件も含まれることに触れ、裁判員制度のあり方についても、あわせて問題提起をされました。

 

本講演には、政治経済学部の学生を中心に、大学院を含む多くの教職員および外部の方が参加、100人の会場は満席で、立ち見の参加者が多くありました。また、扱うテーマが「死刑」ということもあり、緊張した空気の中で行われ、死刑問題に関する、参加者の関心の高さをうかがわせる講演会となりました。

 

また本講演後、昨年の政治経済学科の講演をまとめた、『創造するリベラル』等が販売されました。

 

いま、死刑制度を見つめる(講演概要)

 

政治経済学科HP

 

写真左:講演する阿久戸学長

右:聴衆からの質問に答える、寺中氏

 

 

 

『創造するリベラル』が発売されます

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/11/04(火) 00:00

聖学院大学講演会をまとめた本が、11月4日から発売されます。

『創造するリベラル』(著者 加藤紘一・姜尚中)

 

聖学院大学政治経済学部は2006年より”時代を考える”というテーマで、授業や講演会を通し、多彩な方面から「現代」について、考察を重ねてきました。

 

このたび、それらの講演内容および講演会後の学生との質疑応答についてまとめたブックレットを出版する運びとなりました。

内容は、衆議院議員・加藤紘一氏および東京大学大学院教授・姜尚中氏の講演会やインタビューが中心となり、今後の日本の様々な課題を論じ合う形になっています。

 

一般の店頭販売は11月4日からとなります。

 

 

 

■タイトル他
シリーズ 時代を考える

『創造するリベラル』 
著  加藤紘一・姜尚中
編  高橋愛子(聖学院大学政治経済学部准教授)
発行 新泉社
A5判(ソフトカバー) 112ページ
定価 1,050円(消費税込み)

 

■目次
序 創造するリベラル
1 強いリベラルの挑戦
2 ローカルからの創造
3 進みゆくべき方向
4 「東北アジア共同の家」への道
5 自由演技に入った日本

 

■概要
日本の進むべき道を語り合う。確固としてリベラルを貫く政治家・加藤紘一と、時代の趨勢を明快に論じる政治学者・姜尚中が、今後の日本の課題を鋭く簡潔に指摘する。

 

■入手方法

書店もしくは聖学院ゼネラルサービス(電話:046-725-1781)にてお買い求め下さい。
20周年記念講演会(11/12「死刑制度を見つめる」、11/19「現代の貧困」、11/26「アメリカとは何か」)

でも購入可能です。

 

 

 

 

2008/10/16講演会報告 裁判員制度

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/10/20(月) 19:06

本日の政経講演会のテーマは「裁判員制度」。

 

石川裕一郎准教授の「憲法(人権)」の授業の場所を教室からチャペルに移し、外部に開かれた形で4限・5限の時間に行われました。
本日の講演者は、弁護士であり、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏と、弁護士であり、元最高検察庁検事の岩下肇氏。

 

 

 

 

 

伊藤和子氏は、被告人の弁護担当を担当された、名張毒ブドウ酒事件等を例に、刑事裁判に裁判員制度という「市民参加」のシステムを導入するにいたった背景をわかりやすく説明され、参考となるアメリカの陪審制度の傍聴経験なども紹介されました。そして、日本における従来の刑事裁判の問題や、裁判員制度の問題点もつまびらかにした上で、それでもなお、今の刑事裁判に風穴を開ける意味での裁判員制度の重要性を述べられました。

 

 

 

一方、岩下氏は、司法制度改革審議会意見や裁判員法を紹介され、裁判官の被告人に対する上から目線や、公務員の職務意識について、厳しい問題意識から発言されました。そして、一般市民の専門知識が不十分さ、過重な負担などから裁判員制度に疑問をもたれていること、現制度下でも可能な改革から着手することを力説されました。

 

 

 

 

休憩後、松村芳明・聖学院大学非常勤講師(憲法)を、交えてのパネルディスカッション、その後でフロアからの質疑応答が行われ、主に裁判員制度に対する懐疑的な意見に伊藤氏が答えるという形で進行しました。聴衆も非常に熱心で、30分ほど時間超過するほど熱の入った質疑応答が展開されました。

参加者:70名(外部13名)

 


 

2008/10/15講演報告 日本の東アジア外交と朝鮮半島

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/10/20(月) 18:43

今回の講演会は、東アジア外交をテーマに、康仁徳氏(本学総合研究所客員教授)および枝野幸男氏(衆議院議員)に講演をお願いしました。

司会は、小田川興氏(本学総合研究所客員教授・元朝日新聞社ソウル支局長)。

 

まず康先生からは朝鮮半島について、日本との関係を知る上で重要な歴史を踏まえた上で、北朝鮮問題および今後の展望について、丁寧な解説がありました。

特に北朝鮮問題については、講演前日に、アメリカが北朝鮮の「テロ支援国家指定」の解除をしたこともあり、日本人拉致問題、ミサイル・核開発問題の経緯を確認することは、非常に時宜を得たものでした。

また展望においては、特にポスト金正日について、日米韓での共同研究および、対策樹立が緊要であるとの、発言がありました。

 

次に、枝野氏からは、金融危機の痛手を受けるアメリカ、経済成長・改革開放路線を続ける中国の存在を踏まえ、今後の東アジア外交について利害が一致する国を探すことの重要性が主張されました。
一方で、いわゆる「歴史問題」に触れ、被害者側の認識の仕方について日本の戊辰戦争を例に、持論を展開されました。

 

続いて2人のトークセッションがあり、日韓関係について意見が交わされ、特に若い世代では、より一層交流が進むのではないかという期待が寄せられました。外部からの参加者も多く、喫緊の課題に対する提言に耳を傾け、講演会後の質疑応答も盛んでした。

 

参加者 約200名(内外来者 30名)

 

■写真

上段左 康仁徳氏、上段右 枝野幸男氏

中段左 講演会の聴衆、中段右 小田川興氏

下段左 講演会後のランチ・セッションで、質問に答える講師

下段右 質問する聖学院の学生

 

 
 
 

 

2008/10/8講演報告 杉原泰雄氏「平和国家と福祉国家の現代的意義」

[聖学院大学(政治経済学科)] 投稿日時:2008/10/14(火) 16:54

20周年記念・秋の講演会、第2弾は、憲法学専門の杉原泰雄先生(一橋大学名誉教授、左写真)に、ご講演をお願いしました。

 

杉原先生は、徹底した非武装・非戦を目的とした、日本国憲法制定時の9条の設置理由などを踏まえ、あらためて、現代における9条の意義を、データや時の首相の言説を引用しながら非常にわかりやすく解説されました。

 

特に、軍拡競争と経済・財政との関係に触れられ、ソ連では経済的疲労のうちに崩壊、軍事費に膨大な支出を行い続けているアメリカでは、財政赤字が増大し、貧困率が非常に高くなる状態であることを示されました。

 

一方、平和憲法のある日本でも、軍事費が増大し、社会的格差が拡大し始め、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)が脅かされるような状況であり、今こそ、「平和」かつ「福祉」国家になるべく、第9条、25条の原点に立ち戻るべきだと主張されました。

そして、日本は、そのような憲法の教育研究に力を注ぐべきだともコメントされました。

講演後も別会場で、学生・教員による質疑応答が続き、非常に熱い講演会となりました。(参加者約200名)

 

 左:講演会司会・コーディネータ、阿久戸学長
 左下:講演を熱心に聴く参加者
 右下講演会後、学生の質問を受ける杉原先生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演会(2008/10/7)告知(パンフレットなど)

 

政治経済学科

 

コミュニティ政策学科

 

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