大きくする 標準 小さくする
このエントリーをはてなブックマークに追加

聖学院 On-line Information

【大学】第6回留学生日本語弁論大会が開催されました [聖学院大学]

投稿日時:2008/12/05(金) 10:27

  ───異文化体験を日本語で披露 今年も好スピーチが続出!───
 聖学院大学が「第6回 留学生日本語弁論大会」を開催

 

 

 去る11月26日、聖学院大学(埼玉県上尾市)で毎年恒例となっている「留学生日本語弁論大会」が開催された。今年も応募段階から多くの留学生の申し込みが寄せられたが、最終的に予備審査を通過してこの日の本大会に進んだのは、応募者の約半分となる8名(国籍別では中国5名、ネパール2名、ミャンマー1名)。
 

 今年の弁論大会で、出演者たちのテーマ選びにおいて基調を成したのは「異文化交流」というキーワード。スピーチをおこなった8名は、来日後に日本文化と接し日本人と交流する中からそれぞれが感じ取った日本人像や日本文化への驚き、憧憬、そして感動の思いを、各自の体験を通じて披露し、聴衆の共感を誘った。

 

 ヨウ・メイさん(中国)は「私の異文化体験」と題したスピーチで、日本人の礼儀作法や言葉遣い、温泉文化などについて来日後に感じた新鮮な驚きを巧みな日本語で表現し、オウ・ホウライさん(中国)は日中間における親子関係の違いなどを分析しながら、同じアジアの国として、心と心の結びつきこそが全ての違いを乗り越えるカギになると説いた。またチョウ・シンさんは、日本の車道が左側通行であることなどを例に挙げながら、最初は自国とのギャップに戸惑っていた自分が、時間の経過と共に、異文化を理解する面白さを実感できるようになった成長ぶりを、うまくスピーチで演出してみせた。


 一方でアジアの非漢字文化圏から聖学院大学に入学した留学生の中からは、ネパール人留学生のラマ・チャワンザンブさんが、顧客に「感謝する」という日本の商慣行を取り上げながら、異なる国の者同士がお互いの文化を学び合うことにより、平和で安全な世の中が実現すると説いたほか、ミャンマー出身のマルサンさんは、自分にしかできない実体験を深く掘り下げてスピーチし、日本でのボランティア活動を通じて知り合った子供達との交流から、自分の人生にとって大切な財産を得たと力強く語った。

 

 全体的に、今年も甲乙つけ難い、レベルの高い大会となったが、最優秀の学長賞を勝ち取ったのはネパール人留学生のカレル・ティカラムさん。ティカラムさんは家族で一緒に住むケースの多いネパールと核家族化が進む日本の現状を取り上げながら、古い家具や電機製品に対する両国民の感覚の違いを比較し、さらに母国における男性の友人同士の関係、未亡人のしきたりなどを例に、文化や風習のギャップとは何かについてわかりやすい解説を披露した。カレルさんは流暢な日本語を駆使しながら終始、ユーモアに溢れたスピーチをおこない、聴衆や審査員たちの共感を呼び起こした。


 ティカラムさんに次いで惜しくも次点となった優秀賞(国際部長賞日本語教育委員長賞)には、いずれも中国出身の2人が選ばれた。国際部長賞のリン・シュウエイさんは、周囲の日本人学生と接してきた体験から、独自の視点で日本の若者を分析。親に学費の負担を掛けないようにとアルバイトを頑張る友人や、伝統文化に忠実な学生たちを例に挙げながら、日本の若者の「意外な一面」を披露した。日本語教育委員長賞に輝いたリュウ・シコウさんは、来日後に学費の支弁から住居探し、アルバイト探しまで、あらゆる世話をしてくれた日本の養父との感動的な交流エピソードを披露し、聴衆へのアピール度においてこの日、最高の評価を受けた。


 大会後、スピーチを総括した教員からは、「日本人のもつ独自の文化や、今では喪失してしまったものを、それぞれが自分にしかできない体験を通じ、ユーモラスに表現していた」と評価する声があった一方で、「1つのスピーチの中に内容をあれこれ盛り込みすぎなので、独創的な異文化体験だけにポイントを絞り込んだ方がいい」、あるいは「なるべく原稿から離れて、内容を暗記しておく位の準備を」といった、日本人学生も顔負けのハイレベルなアドバイスまで飛び出し、留学生に対する期待値の高さがうかがわれた。

 

 歴史を重ねながら内容の方も年々グレードアップし続けている「聖学院大学留学生日本語弁論大会」。来年は通算7回目を迎えることになり、今後ますますの飛躍が期待される。(留学生新聞編集部)

 

 

以上の記事は、留学生新聞に中国語で掲載されます。

 

 

 

アーカイブ