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【報告】2013/6/5 日本文化学科春の講演会2013「香りと文学と私」 [聖学院大学(日本文化学科)]
投稿日時:2013/06/07(金) 10:28
6月4日(水)、聖学院大学チャペルにて恒例の日本文化学科主催講演会が行われました。
この講演会は、在学生はもとより、卒業生、教職員、更には近隣の方々を招いて、来場者とともに「文化」と出会い、「文化」を体験し、「文化」への認識を深めることを目的に毎年行われている催しです。
今年は「北鎌倉香り仕事」オーナーであり、「香りの研究者」「香りの伝道者」として広くご活躍されておられる嶋本静子先生をお招きし、「香りと文学と私」と題したお話とワークショップをしていただきました。
学生、教職員の他、一般の方も含め約220名の来場がありました。
嶋本静子先生をお招きして行われた講演会「香りと文学と私」
嶋本先生は、まずご自身が香りの研究を始められたきっかけからお話しになり、その研究の一端として日本の古典文学、特に『源氏物語』の「空蝉」のくだりについて解説をして下さいました。
「源氏のまとう薫香の香り」が「17歳の身体と混じり合った」ものであり、だからこそ暗闇の中にありながらその香りの主が他ならぬ源氏その人のものであることを全身に受け止めた空蝉、にも関わらず「嬉しさ」「罪悪感」「劣等感」という様々な感情に揺れ動くがゆえに、愛おしくてならない源氏から自らを引き剥がさざるを得なかった彼女の繊細極まる感性と振る舞い。『源氏物語』に登場する女性たちの哀切が、現代に生きる女性たちの心を突き動かすものであることを改めて実感することとなりました。
また、一方の源氏についても、彼の恋愛には「母恋」というのもが根底にあり、この場面には恋愛のエロティシズムだけではなく、「若い」彼だからこその恋の実質というものが読み取れ、その意味で男性側からも深い想念を呼び起こさせるものであることが理解できました。『源氏物語』の世界は底知れぬ深さを持ち、それゆえに長く読み継がれている作品となっていることを再確認できました。
続いて行われたワークショップでは、こうした源氏の「若さゆえの香り」(『源氏物語』では、壮年、中年の源氏については香りの記述がなされていない)に注目し、参加者がそれぞれに香りの「個別性」について体験することとなりました。
ワークショップは二つの体験をしました。
1、野ばらの香りを自身に吹きかけ、その香りを確かめる。その後、二人一組になってお互いの香りの違いを確認する。
2、4種類の香りを嗅いで、その香りから受ける印象を紙に書きとめる。
1については特に男女間の違いを実感する、まさに強烈な体験をすることとなりました。
2についてはいくつかの回答例を先生自らお読み下さり、それぞれの香りの特性について説明をいただいたことで、自らの印象と香りの特性との結びつきを発見するというとても興味深い発見をすることができました。
香りを体験したワークショップの様子
実は、嶋本先生にご講演いただくのは今回で三回目です。
それぞれの講演内容が異なるものであることは勿論ですが、参加者がその都度新たな発見をし、刺激を受けることが出来るというのが、先生のご講演の最大の魅力でしょう。
最後に、学生から提出された感想を記してこの報告を閉じたいと思います。
特に感想を求めたわけでもないのに感想を書きたくなってしまったというこれらの感想文が、この講演の魅力をお伝えすることになると思います。
・今日の講演は今までの中で一番楽しい講演でした。自分自身の香りというのがわかり、楽しかったです。因みに、自分はユーカリの香りが好みでした。
・すばらしいお話を聞けました。香りとは心にも身体にも効く素晴らしい効果があるのだと知りました。
・香りについてもっと意識したいと思いました。その匂いを嗅いで、うまく答えられるようになりたいです。
・香りとはとても深いものなんだなと感じました。本日の講演、有難うございました。
・香りは脳で分かるというのは初めて聴いた。しかし、「忘れてしまったことがある時に嗅いだ香りによってその時に考えていたことを思い出す」ということを聴いたことがあるので、考えてみれば、香りを脳で判断するというのは確かにそうなのかもしれないと妙に納得した。
・人によって匂いが変わるのは知っていたけど、年齢、性別、食べ物などで変わるとは思っていなかった。
・人によって「におい」が異なる所がとても面白いと思いました。また、今まで嗅いだことのない匂いを嗅ぐことができ、とても貴重な体験になりました。
>>講演プレスリリースは こちら
>>日本文化学科ホームページは こちら
この講演会は、在学生はもとより、卒業生、教職員、更には近隣の方々を招いて、来場者とともに「文化」と出会い、「文化」を体験し、「文化」への認識を深めることを目的に毎年行われている催しです。
今年は「北鎌倉香り仕事」オーナーであり、「香りの研究者」「香りの伝道者」として広くご活躍されておられる嶋本静子先生をお招きし、「香りと文学と私」と題したお話とワークショップをしていただきました。
学生、教職員の他、一般の方も含め約220名の来場がありました。
嶋本静子先生をお招きして行われた講演会「香りと文学と私」
嶋本先生は、まずご自身が香りの研究を始められたきっかけからお話しになり、その研究の一端として日本の古典文学、特に『源氏物語』の「空蝉」のくだりについて解説をして下さいました。
「源氏のまとう薫香の香り」が「17歳の身体と混じり合った」ものであり、だからこそ暗闇の中にありながらその香りの主が他ならぬ源氏その人のものであることを全身に受け止めた空蝉、にも関わらず「嬉しさ」「罪悪感」「劣等感」という様々な感情に揺れ動くがゆえに、愛おしくてならない源氏から自らを引き剥がさざるを得なかった彼女の繊細極まる感性と振る舞い。『源氏物語』に登場する女性たちの哀切が、現代に生きる女性たちの心を突き動かすものであることを改めて実感することとなりました。
また、一方の源氏についても、彼の恋愛には「母恋」というのもが根底にあり、この場面には恋愛のエロティシズムだけではなく、「若い」彼だからこその恋の実質というものが読み取れ、その意味で男性側からも深い想念を呼び起こさせるものであることが理解できました。『源氏物語』の世界は底知れぬ深さを持ち、それゆえに長く読み継がれている作品となっていることを再確認できました。
続いて行われたワークショップでは、こうした源氏の「若さゆえの香り」(『源氏物語』では、壮年、中年の源氏については香りの記述がなされていない)に注目し、参加者がそれぞれに香りの「個別性」について体験することとなりました。
ワークショップは二つの体験をしました。
1、野ばらの香りを自身に吹きかけ、その香りを確かめる。その後、二人一組になってお互いの香りの違いを確認する。
2、4種類の香りを嗅いで、その香りから受ける印象を紙に書きとめる。
1については特に男女間の違いを実感する、まさに強烈な体験をすることとなりました。
2についてはいくつかの回答例を先生自らお読み下さり、それぞれの香りの特性について説明をいただいたことで、自らの印象と香りの特性との結びつきを発見するというとても興味深い発見をすることができました。
香りを体験したワークショップの様子
実は、嶋本先生にご講演いただくのは今回で三回目です。
それぞれの講演内容が異なるものであることは勿論ですが、参加者がその都度新たな発見をし、刺激を受けることが出来るというのが、先生のご講演の最大の魅力でしょう。
最後に、学生から提出された感想を記してこの報告を閉じたいと思います。
特に感想を求めたわけでもないのに感想を書きたくなってしまったというこれらの感想文が、この講演の魅力をお伝えすることになると思います。
・今日の講演は今までの中で一番楽しい講演でした。自分自身の香りというのがわかり、楽しかったです。因みに、自分はユーカリの香りが好みでした。
・すばらしいお話を聞けました。香りとは心にも身体にも効く素晴らしい効果があるのだと知りました。
・香りについてもっと意識したいと思いました。その匂いを嗅いで、うまく答えられるようになりたいです。
・香りとはとても深いものなんだなと感じました。本日の講演、有難うございました。
・香りは脳で分かるというのは初めて聴いた。しかし、「忘れてしまったことがある時に嗅いだ香りによってその時に考えていたことを思い出す」ということを聴いたことがあるので、考えてみれば、香りを脳で判断するというのは確かにそうなのかもしれないと妙に納得した。
・人によって匂いが変わるのは知っていたけど、年齢、性別、食べ物などで変わるとは思っていなかった。
・人によって「におい」が異なる所がとても面白いと思いました。また、今まで嗅いだことのない匂いを嗅ぐことができ、とても貴重な体験になりました。
>>講演プレスリリースは こちら
>>日本文化学科ホームページは こちら
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