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2010/10/20 創立記念講演会 姜尚中先生「生きる意味と教養」報告 [聖学院大学]
投稿日時:2010/10/20(水) 17:42
10月20日(水)、聖学院大学チャペルにて、東京大学大学院教授の姜尚中先生をお招きし、聖学院大学創立22周年記念講演会が開催されました。「生きる意味と教養―大学は何のためにあるのか」と題されたこの講演会には日本文化学科、児童学科、人間福祉学科の学生たちが参加しました。
講演会では、ご自身が幼い頃、近所で親しくしていたおじさんの交通事故での凄惨な死の場面を見、人は死ぬという事実を突きつけられたことから、「なぜ生きているのか」という問いを抱いてきたことを語られました。
こうした問いに対して、十代の頃の姜先生は夏目漱石やマックス・ウェーバーなどの文学や社会学者らの作品にのめり込み、答えを探してきました。
大学では、始めて全てを受け止めてくれる友人との出会いもあり、「生きる意味」について議論をかわしたことも幾度となくあったそうです。
ドイツと日本では、意味というものをめぐる社会学があります。解答のない問いを問い続けることこそが、生きる意味だと考える学問です。姜先生はこの問いを考えることについて教えてくれる場所が大学であり、教養であると話しました。
また、回答のない問い「生きる意味」を考え続けるには、教養がヒントとなり、助けとなることを示唆しました。
一方で、現在日本では年間3万人を超す自殺者についても話題は及びました。
統計上の3万という数を当たり前のように考え、自殺者にどうか他人に迷惑をかけないで自殺してほしいとさえ言う人がいる社会は、「生きる意味が空洞化している社会」だと話されました。
こういった空洞を埋めるものとして、これまでナショナリズムや宗教、戦争に傾倒する若者がいることもまた事実であり、先日起こった中国での反日デモもこれに連なるものではないか、と言及しました。
生きる意味に結論は無いと語った上で、自身が尊敬する韓国の元大統領金大中氏についても話されました。
金大中氏も「生きる意味」を模索し続けた人です。敬虔な信仰をもち、実事求是をもとめたからこそ、どういう時代であるかを見抜くことができたのです。
また、金大中氏と交流のあった姜先生は金大中氏の奥様から西郷隆盛の言葉である「敬天愛人」という言葉をいただいたことがあるそうです。
天を敬い、人を愛するというこの言葉に「生きる意味」に対する一つの答えがあるのではないかと姜先生は話しました。
姜先生は最後に、「生きる意味を問い続けてほしい。社会は10年経つと変化するからこそ、10年後にまたここで皆さんとお会いしたい」と締めくくりました。
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