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聖学院 On-line Information

留学生弁論大会が行われました [聖学院大学]

投稿日時:2007/11/29(木) 20:03

留学生新聞に掲載された記事を紹介します。

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 聖学院大学(埼玉県上尾市、阿久戸光晴学長)で、去る11月28日、留学生による恒例のスピーチコンテストが行われた。「聖学院大学留学生日本語弁論大会」と銘打たれたこのイベントは、2003年に同校の日本語教員の発案によりスタートしたもので、以来毎年開催され今回が5回目。今年も予備選考を通過した中国、ベトナム、タイ、モンゴルの留学生計8名が出場し、会場には同大学教職員や留学生の友人たち、日本人学生らが応援に駆けつけ、大いに盛り上がりをみせた。

 


 総会司会をつとめた同大学国際部の喜田敬・副部長は冒頭の挨拶で「日本人しか知らない日本人は、日本をも知らない」という格言を引用し、世界中から集まっている留学生たちの視線を通じて、日本や世界を見ることの大切さを訴え、熱戦の火ぶたが切られた。


 出場した8名の留学生たちはそれぞれのスピーチの中で、各人が留学生活で体験してきた様々な出来事やエピソードを随所に盛り込みながら、聴衆に力強いメッセージを贈った。


 リン・シュウエイさん(中国)は、日本人の接客態度に感銘を受けた実体験をもとに、洗練された接客サービスこそが日本文化の象徴との考え方を披露した。ト・サイヨウさん(中国)は、モノを買うときに値段を値切る中国文化と、それをよしとしない日本文化の違いを分析しながら、「値切り」こそが人と人とのつながりを重視する中国文化のあらわれと説いた。いずれも、自国と日本の比較からそれぞれの文化や習慣を理解しようとする洞察力が光るスピーチだった。


 また居住先の大家との交流から突然の別れまでを感動的に綴ったズオン・ティビックゴックさん(ベトナム)や、最初は自分に対して厳しくみえた日本語学校の先生が実は最大の理解者で、貴重なアドバイスを与えてくれたという思い出を回顧したラン・ショエさん(中国)のように、日本人との心温まる交流秘話を取り上げた内容が今大会では特に多く、聴衆の共感を誘った。さらに、日本にはないモンゴルの習慣をジョークを交えて紹介したオトゴンバヤル ソロンゴさん(モンゴル)や、日米両国における異文化体験を双方に滞在したキャリアを踏まえてユーモラスに語ったパラシシポーン・ソモチットさん(タイ)など、豊富な国際交流の経験を活かした、味わいのあるスピーチも目立った。


 全体を通じて優秀な発表が続出し、「優劣つけがたい」と審査員達を悩ませた今年のコンテストだったが、僅差を制し見事に学長賞を受賞したのはチョウ・ビさんとソン・テイテイさんの2名(いずれも中国)。チョウさんは日本で初めて過ごした正月体験をもとに、日本人の知り合いから聞いた日本の正月事情を取り上げ、海外で生活するためには相手国の習慣を知ることが大切だと明快に説き、多くの聴衆の支持を得た。また聖学院大学に入学後3回目のコンテスト挑戦となった孫さんは、日本で体調を崩した自らの辛い体験をテーマに、周囲の人の支えを得て乗り越えてきた遍歴を語り、留学生活をサポートしてくれた全ての人に率直な感謝の気持ちを表現した。

 

 全般的に今回のスピーチコンテストでは、留学生たちが日本の一般市民と濃密な交流体験を共有し、そこから多くのことを吸収しながら日々成長を遂げている姿がはっきりと見て取れた。普段はあまり語られることのない、彼らの実体験に根ざした「留学ストーリー」が、こうした場を通じて多くの人に伝えられていくことは、留学生に対する周囲の理解が深まるだけでなく、双方の信頼と交流そのものを促進するという観点からも意義深いことといえるだろう。

 聖学院大学では、来年以降も同様の試みを続けていくとしている。
(留学生新聞・編集部)

※写真上:弁論大会の様子。写真下:学長賞の授与

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