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2009/11/18欧米文化学科特別講演会「いのちをおくる」報告 [聖学院大学(欧米文化学科)]
投稿日時:2009/11/18(水) 17:15
11月18日(水)、欧米文化学科主催「いのちをおくる」―音楽死生学の世界(ミュージック・サナトロジー)と題して、キャロル・サック氏による講演会が行われました。キャロル・サック氏はハープと歌で、死の床にある患者に対するケアを行う音楽死生学士として活動しています。当日は一般の方が100名以上来場し、総勢200名以上もの聴衆が氏の講演に耳を傾けました。
音楽死生学(ミュージック・サナトロジー)とは90年代にアメリカで起こった緩和ケアで、その源流は中世ヨーロッパのベネディクト修道会にみることができます。ベネディクト修道会では死を迎えようとする患者の尊厳を大切にし、孤独死させないことを「臨終の癒し」と呼んでいました。
サック氏は自身の娘が脳神経の病に冒されたことから音楽で人を癒すことに興味を持ち、ミュージック・サナトロジーの存在を知りました。ミュージック・サナトロジーで使用されるものはアイリッシュハープ(オーケストラで使われるものより小さめのハープ)と奏者の歌声です。患者さんの前で演奏する曲目は子守唄や聖書の詩篇が多いということでしたが、実際には患者さんの状態や表情、呼吸を見てそれに合った音楽を選ぶということでした。サック氏はこれを「患者さん本人が音楽を選ぶのです」と話していました。
ハープと歌の実演の際には、「眠くなったら寝ていいですよ。それが私たちの仕事ですから、リラックスして聞いてください。」とユーモアを交えた言葉に会場を沸かせる一面もありました。
サック氏は現在、東京山谷にあるホームレスのためのホスピス希望の家でケアを行っています。氏が奏でたハープを聞いたホームレスの方は、「まるで楽園の入り口にいるような音楽。俺も捨てたものじゃないと思ったよ。」と話していたそうです。サック氏はこの言葉から「これこそが私たちの目的です。一人ひとりの尊厳を認め、自分も捨てたものではないと思ってもらえることが大切。」と最後に語りました。
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