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2009/11/11 人間福祉学部講演会 いせひでこ氏 報告1 [聖学院大学]
投稿日時:2009/11/11(水) 15:13
11月11日(水)、人間福祉学部のアセンブリーアワーにて「絵本・物語ができるまで」と題して、いせひでこ氏による講演会が行われました。いせひでこ氏は東京藝術大学芸術学部を卒業、その後フランスにてイラストレーションを一年間学び、現在は画家・絵本作家として活躍しています。
講演会では、いせ氏の著作である『ルリユールおじさん』、『大きな木のような人』といった絵本を紹介しながら、物語ができる過程やどこから着想を得るのかといったお話をしていただきました。
『ルリユールおじさん』は大切にしていた本が壊れてしまい、困っていた少女をルリユール(本の装丁や製本を行う職人)であるおじさんがその本を直すという物語です。この物語ではフランスが舞台となっており、いせ氏は約2年に及ぶ現職のルリユールへの取材を通して、この物語を完成させました。
いせ氏はこの本には二つのテーマがあると語っていました。ひとつは「手」、もう一つは「出会い」です。
ルリユールは製本の過程を全て手作業で行います。インターネットや機械のボタンひとつで操作していたら分からない感覚が手作業にはある、といせ氏は語っていました。また、「出会い」についても、女の子とおじさんは世代も違う見知らぬもの同士であったのに、出会いによって大きく変わった、と感慨深く話しておられました。この「出会い」というテーマについて、講演会に出席していた学長先生が、「いせ氏の描く絵本では登場人物がみなどこかしら傷を持っている。しかし、出会いを通して傷が違うものに変わっていく」とお話されていました。
また、物語の着想に関しても、実際に見たり聞いたりしたことから想像を膨らませて物語を作るので、「自分が体験していないことを私は書けない」と絵本を書くために体験した様々なことを語ってくださいました。
この講演の中でいせ氏は「物語は最初から物語られるために存在しているわけではないのです。考えて、体験して、取材して、自分の人生観まで入れて物語を考え、そこから更にいらないところを捨てて、それでも残ったものが物語になるのです。」と大変興味深い言葉を聴衆に残していきました。
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